クアラルンプールの高台にそびえ立つ天后宮。
その壮大さ、そして思わず引き込まれる鮮やかな色づかいや精巧な彫刻など、圧倒的な存在感を放っています。
この記事では道教・仏教・儒教のエッセンスを取り込んだ天后宮の概要、参拝方法やおみくじの引き方、アクセス方法、開放時間について紹介します。
クアラルンプールの天后宮
マレーシアの海南コミュニティによって建立された天后宮。
雪隆海南會館(The Selangor & Federal Territory Hainan Association)によって管理されている宮廟です。
天后宮の建立は1987年、雪隆海南會館の創立100周年にあたる1989年に一般開放となりました。
建立後30年ほどの宮廟であるため、何百年という歴史を持つ廟と比較すると、古い建築物が持つ厳かな雰囲気というよりは真新しさが目立ちます。
天后宮で祀られている神様
天后宮で祀られているメインの神様は天后。
媽祖のほか、天妃や天上聖母などと呼ばれることもある天后は、海岸に面した中国南部や台湾、東南アジアの一部の国で深く信仰されている航海や漁業の神様(女神)です。
媽祖以外の神様も
道教の守護神として知られる媽祖ですが、天后宮には観音菩薩のほか、海南の人々に信仰される水尾聖娘も祀られています。
観音菩薩。
水尾聖娘。
また、敷地内には縁結びの神様として知られる月下老人(月老)の像もあります。
婚姻の登録もできる天后宮
天后宮には婚姻の手続きを執行するオフィスがあり、ROM(Registration of Marriage)を終えたローカルのカップルを見かけることがあります。
家族や親しい友人に囲まれ、とても幸せそうな姿を見ることができる、とっておきの瞬間です。
Thean Hou Templeの内部
かなり大きな天后宮。
まずは正面にある階段を登って行きます。
「THIS WAY TO TEMPLE」という表示に沿って歩いて行きます。
本堂に続く階段があるので登ります。
ご本尊がある本堂。
本堂の上部にはブリッジで繋げられたエリアがあり、一帯を歩くことができるようになっています。
こんな風に階段や道があります。
天后宮(Thean Hou Temple)は高台にあることから見晴らしが非常に良く、クアラルンプールの街を見渡すことができます。
上記画像の一番右端にある建物がPNB118。
マレーシアで最も高い建物になる予定のビルで、2024年現在ほぼ完成状態になっています。
その隣に見えるものがKLタワー。
本堂前にあるメインゲート。
メインゲートの前にはさらに広大なエリアが広がっています。
まさに壮観の一言です。
精巧な彫刻と装飾
装飾にも目を奪われるものがあります。
鳳凰。
色鮮やかであることに加え、精巧なつくりになっています。
じっくり見てみると、「なんかかわいいな…」とほっこりする装飾も施されています。
こちらは本殿の天井部分。
見応えがあります。
提灯がいっぱい!鮮やかな春節の天后宮
春節(旧正月)の時期になると、赤い提灯が吊り下げられ、一層華やかな雰囲気になります。
普段の天后宮も綺麗ですが、春節の時期の天后宮は、はっとする美しさを放ちます。
ぎっしりと提灯が吊るされています。
チャイニーズニューイヤーのライトアップ
チャイニーズニューイヤーの時期は、毎年ライトアップが行われています。
一面が真っ赤になります。
赤い提灯と夜空のコントラストが美しく、旧正月だけに見ることができる特別な風景です。
Thean Hou Templeの参拝方法
お線香を使わない場合は本殿にそのまま入り、それぞれの神様の前で参拝する形になりますが、ここではお線香を使って参拝する方法について紹介します。
*参拝方法は雪隆海南會館の公式Facebookで紹介されている動画をもとにしています。
本殿前にお線香が入った箱があります。
お賽銭を箱の中に入れたのち、4本のお線香を取ります。(全部で4箇所にお参りをする形になるため、4本のお線香を使います)
お線香4本全てに火をつけます。
お線香に火をつけたら、準備完了です。
まずはメインの神様である天后聖母に参拝。
赤いクッションの上にひざまずいてお参りしているローカルの方もいますが、立ったままお参りする形でも大丈夫です。
お線香を両手で持ち、顔の位置に持ち上げてお参りする形が一般的ですが、このあたりはローカルの人を参考にしてみてください。
媽祖(天后聖母)への参拝が終わったら、向かって右側の観音菩薩、左側の水尾聖娘にも同じように参拝します。
媽祖(天后聖母)、観音菩薩、水尾聖娘への参拝が終わったら、本殿前にある香炉に行きます。
ここに3本のお線香を差します。
その後、残り1本のお線香を持って、メインゲートに体を向けます。
本殿を背にして、メインゲート側がある方向に向かい、道教の最高神にあたる天公(玉皇大帝)にお参りします。
最後に残り1本のお線香を外側にある香炉に差します。
これでお線香を使った参拝が完了です。
参拝にかかわる注意事項
いくつか注意事項があります。
本殿内では飲食禁止や適切な服装と行動を心がけるという基本事項に加え…
お線香を持って本殿内に入らないこと
この点に注意してください。
また本堂のエリアは土足厳禁になっているので、靴を脱ぐことを忘れないように気をつけてください。
階段より上のエリアが土足厳禁エリアになります。
天后宮のおみくじ(求籤)
天后宮を訪れる人に人気のおみくじ。
本殿内におみくじコーナーが設置されています。
正確には求籤、広東語の発音でKau Chim(カウチム)と呼ばれるものになります。
伝統的な求籤はおみくじの棒とおみくじを入れる筒(籤筒)が竹で作られているものの、天后宮で使われている求籤は少し異なります。
おみくじ・求籤(Kau Chim)の引き方
求籤(Kau Chim)は神様にアドバイスを求める時に使います。
例えば、学業やキャリアなど人生の岐路で迷いを感じた時、どうしたら良いの?と悩んだ時に答えを求めて、求籤(Kau Chim)を使い質問をして回答を得る…という使い方をします。
そのため、具体的に神様に聞きたいことを念じた上で、おみくじを引く形になる点が日本の一般的なおみくじとは異なります。
全てのおみくじの棒を取り出し両手で抱える
おみくじの棒を全て取り出し両手で抱えます。
この時に占いたいことを心の中で唱えます。
伝統的な求籤(Kau Chim)では籤筒を両手で抱えて筒を振る形になりますが、天后宮の求籤(Kau Chim)は籤筒がないため、おみくじの棒を両手で抱えて行います。
おみくじの棒を落とす
おみくじの棒を元々入っていた穴の中にドサっと落とします。
この時に1本飛び出した棒があれば、それを引きます。
(おみくじの棒が飛び出していない時は上記の動作を繰り返し行います。)
おみくじの棒に書かれた番号を確認
引いたおみくじの棒に書かれた番号をチェック。
結果を確認
該当する番号が記載された引き出しを開けて、中に入っている紙を取り出します。
内容は中国語と英語で表記されています。
内容を確認したあと、紙を元の場所に戻します。
これがおみくじを引く一連の流れになります。
天后宮にある干支のオブジェ
天后宮の敷地内には十二支をモチーフにしたオブジェがあります。
寅。
申。
狗。
亥。
各干支のそばに、それぞれの特徴を示した説明書きがあるので、興味がある方は自分の干支の説明に目を通してみてください。
また、天后宮の敷地内にはお土産屋さんやちょっとしたフードコート、庭園などがあります。
天后宮のロケーション&行き方
住所:65, Persiaran Endah, Taman Persiaran Desa, 50460 Kuala Lumpur
天后宮へは、Grabなど車でのアクセスをおすすめします。
また、天后宮の近くにはRestaurant Siu Siuという有名なレストランがあり、海鮮料理をはじめ美味しいものが揃っています。(ただ、一皿あたりの分量がかなり多いので、グループで食事する時向けのお店になります)
イメージマップで見る天后宮の位置と付近にある駅の情報
赤丸が天后宮がある場所になります。
付近にある公共交通機関の駅としては、KL Sentral駅、Tun Sambanthan駅、 Bangsar駅、Mid Valley駅などがありますが、どの駅からも徒歩でアクセスするには遠く、車で10分程度かかります。
そのため、滞在している場所からGrabで直行する形のほか、KLセントラル駅からGrabを使い、天后宮にアクセスする形がおすすめです。
徒歩でのアクセスはおすすめしない理由
先述したように、天后宮は公共交通機関の駅から遠いことから、徒歩でのアクセスはおすすめしません。
天后宮(Thean Hou Temple)は、Jalan Robsonという通りから、Persiaran Endahという道を登ったところにあります。
上記の画像はJalan RobsonとPersiaran Endahが交わる場所で、ここから坂道が続きます。
Jalan Robsonの近くにバス停もありますが、勾配のあるPersiaran Endahを歩くことは大変なので、徒歩でのアクセスはおすすめしません。
駐車場
Grabやタクシーではなく、自分で車を運転してアクセスする方は、天后宮の駐車場に車を停めることができます。
駐車料金は値上がりしていて、2019年に利用した時はRM5の支払いでした。(2023年2月時点もRM5です。)
今後も値上げとなる可能性があるので、参考情報としてください。
Thean Hou Templeの開放時間
通常は8:00〜22:00です。
ただし春節の時期は通常とは異なるスケジュールになっています。(参拝客が増えるため、通常よりも朝早くから深夜まで開放されています)
詳細は雪隆海南會館公式Facebookで確認できます。
まとめ
交通の便が良くない点がデメリットですが、寺廟に興味がある方は訪れてみても良い場所です。
ただ、個人旅行ではじめてのクアラルンプール観光というケースでは、KLCCエリアやブキッビンタンエリア、あとはチャイナタウンエリアに絞った方が良いと思うので、リピーターの方や旅程に余裕がある方におすすめする観光スポットです。