2008年、ペナンのジョージタウンと共に世界文化遺産に登録されたマラッカ。
歴史の断片や統治時代の名残を街の至るところに見つけることができる「麗しの古都」という表現がしっくりくる、そんな素敵な場所です。
この記事ではマラッカ観光特集として、市内中心部にある観光スポットをピックアップ、それぞれの詳細と観光モデルコースについて紹介します。
地図で見るマラッカ定番人気観光スポット
マラッカには色々な観光スポットがありますが、市内中心部にある定番人気スポットは以下の通り。
- オランダ広場(スタダイス・マラッカキリスト教会・クイーンビクトリアの噴水、時計台)
- セントポール教会
- ファモサ要塞跡(サンチャゴ砦)
- ババニョニャヘリテージ博物館
- 青雲亭
- カンポンクリンモスク
- カンポンフルモスク
- ジョンカーウォーク(ジョンカーストリート)
観光客が特に多いのはオランダ広場周辺とジョンカーウォーク周辺になります。
オランダ広場
「マラッカらしい風景」が広がるオランダ広場。
色彩豊かな街並みが広がるこのエリアには、スタダイスやキリスト教会など、オランダ統治時代に造られた歴史ある建築物が立ち並んでいます。
オランダ広場周辺は、派手なデコレーションを施したトライショーが集まる場所でもあります。
各トライショーからは英語・日本語・韓国語・中国語など、様々な国の音楽が流れています。
夜になると、トライショーがライトアップし、ギラギラとした光を放ちます。
スタダイス
かつてオランダ総督官邸やタウンホール(役所)として使われていたスタダイス(Stadthuys)。
1650年代に建立された歴史ある建築物で、現在はマラッカの歴史や民族誌について学ぶことができる博物館になっています。
マラッカで歴史について学びたい時は、まずスタダイスに足を運ぶことをおすすめします。
マラッカキリスト教会
1753年に建立されたマラッカのキリスト教会(Christ Church Melaka)。
礼拝堂は見学可能です。
クイーンビクトリアの噴水
オランダ広場の中央に位置するクイーンビクトリアの噴水(Queen Victoria’s Fountain)。
100年以上の歴史を持つ噴水は、オランダ広場の憩いの場になっています。
クイーンビクトリアの噴水には、
”VICTORIA REGINA 1837-1901 ERECTED BY THE PEOPLE OF MALACCA IN MEMORY OF A GREAT QUEEN 1904”
…の文字が刻まれ、ビクトリア女王の在位60周年(ダイアモンドジュビリー)を祝う刻印が施されています。
マラッカ時計台
1886年、Tan Jiak Kim(陈若锦)によりに建立されたマラッカの時計台。
正式名称はTan Beng Swee Clock Tower。
時計台の名称になっているTan Beng Sweeは、Tan Jiak Kim(陈若锦)の父親の名前であるTan Beng Swee(陈明水)から名づけられたものになります。
オランダによって建立されたスタダイスやキリスト教会の近くにあることから時計台もオランダによって作られたものと勘違いされがちですが、実際はプラナカン(海峡華人)の富豪によって寄付、建立されたものになります。
陳(Tan)一族について
Tan Jiak Kimの祖父の陈金声(Tan Kim Seng)はマラッカ生まれ&シンガポールで富を築いたプラナカンの実業家であり、慈善活動家として知られています。
シンガポールで学校や病院を設立したり、公共事業へ巨額の寄付を行った功績があるほか、マラッカのスタダイスとジョンカーストリートを繋ぐ橋(Tan Kim Seng Bridge)をマラッカコミュニティに寄付した人物としても知られています。
Tan Kim Seng Bridgeは1942年にイギリスにより破壊され、戦後に再建されているため、現在あるTan Kim Seng Bridgeは再建後のものになります。
マラッカ観光の際に必ずと言っていいほど使う便利な橋です。
セントポール教会
フランシスコ・ザビエルゆかりの地として知られるセントポール教会(St. Paul’s Church)。
ポルトガル統治時代に建てられたカトリックの礼拝堂が起源になっています。
セントポールヒルと呼ばれる丘の上にあり、スタダイスの奥にある階段を使ってアクセスすることができます。
ファモサ要塞跡(サンチャゴ砦)
東南アジアおよび極東アジアにおいて現存する最も古いヨーロッパ遺跡と言わる、ファモサ要塞跡(A Famosa)。
かつて、セントポールヒル(セントポールの丘)を取り囲むように造られた大規模な城塞のうち、現存する要塞の一部(ゲートウェイ)がPorta de Santiago(サンチャゴ砦)として知られています。
外部からの攻撃を阻止するために建てられた要塞
ファモサ要塞跡(A Famosa)のそばにある説明書きによると、1511年にマラッカ王国を制服したポルトガルは、征服後もマラッカ王国の君主(Sultan)であったMahmud Shuaの従者のほか、アチェやジョーホールなどから攻撃を受け続けていました。
外部からの侵攻から守るべく、当時のポルトガルの主導者であったAfonso de Albuquerqueが1512年から建設をはじめた要塞がファモサ要塞(A Famosa)になります。
厚い壁を築き、40mの高さに及ぶ監視塔を作りました。
オランダがマラッカを支配するようになった1641年以降も要塞として使用され、要塞の修繕と拡大が行われました。
1795年、イギリスは要塞の取り壊しを決め、1807年にWilliam Farquharにより爆破されました。
当時マラッカで療養していたSir Thomas Stamford Raffles(トーマス・ラッフルズ)は同胞が要塞を爆破する様を目の当たりにし、破壊を食い止めようと反対。
爆撃が続けられたことから要塞の殆どはなくなってしまったものの、現存するPorta de Santiago(サンチャゴ砦)はトーマス・ラッフルズの進言により守られたものである言われています。
独立宣言記念館
ファモサ要塞跡のすぐ近くには、独立宣言記念館(Proclamation of Independence Memorial)があります。
イギリス統治時代に上流階級の社交の場、Malacca Club(マラッカクラブ)として使われた歴史を持ち、現在ではマレーシアの独立に関する歴史的資料を閲覧できる博物館になっています。
マラヤ連邦の独立が宣言された場所
マラヤ連邦がイギリスから独立を果たした独立記念日は、1957年8月31日。
クアラルンプールにあるスタジアムでセレモニーが行われたことで知られています。
マラッカの独立宣言記念館は1956年2月に、初代マラヤ連邦首相であるTunku Abdul Rahman(トゥンク アブドゥル ラーマン)が、翌年の独立を一般にアナウンスした場所になります。
ババニョニャヘリテージ博物館
マラッカの文化について理解を深めたい時に足を運ぶべき場所がババニョニャヘリテージ博物館(Baba And Nyonya Heritage Museum)。
プラナカンの一族が実際に暮らしていた場所であり、現在も一族によって経営されている博物館です。
セルフツアーという形でガイドブックを読みながら、館内をまわることができます。
青雲亭
マレーシアで最も古い中国寺院の青雲亭(Cheng Hoon Teng)。
中には観音菩薩のほか、媽祖(航海や漁業の神様)が祀られています。
カンポンクリンモスク
インド系イスラム教徒の商人によって建立されたカンポンクリンモスク(Masjid Kampung Kling)。
ヒンドゥー教の影響を受けたスマトラ建築の要素が取り入れられたモスクとして一見の価値があります。
青雲亭とカンポンクリンモスクがある通りは、マレーシア最古のヒンドゥー教寺院のスリポヤタヴィナヤガールムーティ寺院など異なる宗教の施設が立ち並んでいることから、通称でハーモニーストリートまたはテンプルストリートと呼ばれています。
カンポンフルモスク
マレーシアで最古のモスクと言われるカンポンフルモスク(Masjid Kampung Hulu)。
歴史あるモスクになります。
ジョンカーストリート
マラッカの繁華街、ジョンカーストリート。
このストリート沿いには多くの飲食店やお土産屋さん、アンティークショップが立ち並び、グルメとショッピングを楽しむことができるエリアになっています。
デザートのチェンドルが有名なJonker88。
ジョンカーウォークナイトマーケット
毎週金曜日・土曜日・日曜日の夜に開催されるナイトマーケット。
夜になるとジョンカーウォークに数多くの露店がオープンします。
ナイトマーケットには多くの観光客が訪れ、かなり混み合います。
その他の観光スポット&アクティビティ
ここからは、そのほかのマラッカ観光スポットやアクティビティについて紹介します。
マラッカリバークルーズ
約45分間のクルーズを楽しむことができるマラッカリバークルーズ。
川の水があまり綺麗ではないので、このあたりが気になる方にはおすすめしませんが、時間に余裕がある方はオプションの一つとして検討しても良いかと思います。
夜のマラッカを散策、ナイトウォーク
ライトアップされ幻想的な雰囲気に変わる夜のマラッカリバー沿いは、ちょっとした散策におすすめです。
マラッカリバークルーズに参加しなくても、このあたりを少し歩くだけで夜のマラッカを楽しむことができます。
ストリートアート鑑賞
マラッカの街に点在するストリートアート。
写真が好きな方はフォトスポットをチェックしてみてください。
マラッカ観光おすすめモデルコースと所要時間目安
上記で紹介した観光スポットをまわるモデルコース(1日)は以下の通り。
- セントポール教会(所要時間目安:30分程度)
- ファモサ要塞跡(所要時間目安:15分程度)
- オランダ広場(所要時間目安:60分〜90分程度)
- ランチ休憩
- ババニョニャヘリテージ博物館(所要時間目安:30分程度)
- 青雲亭&カンポンクリンモスク(所要時間目安:30分程度)
- ジョンカーストリート(所要時間目安:60分〜90分程度)
オランダ広場側にある観光スポットとジョンカーストリート側にある観光スポットをそれぞれまとめてまわる形にすれば、無駄な移動を抑えることができるので、①〜③と⑤〜⑦は前後逆にしても大丈夫です。
ここでは夕方にジョンカーストリートナイトマーケットに行くことを想定してスケジュールを組んでみました。
それぞれの観光所要時間目安は、急がずのんびり過ごした時の時間を記載しています。(移動時間は含んでいません)
マラッカ観光のポイント
以下にちょっとした観光ポイントや注意事項について紹介します。
セントポール教会は朝や夕方の観光がおすすめ
丘の上にあるセントポール教会は日中かなり暑くなる場所である上、階段を登ってアクセスする必要があることから、気温が上がる前のできるだけ早い朝の時間帯に訪れる形がおすすめです。
もしくは、暑さが少し和らぐ夕方の訪問もおすすめです。
セントポール教会には、スタダイスの後方にある階段を使ってアクセスすることができます。
スタダイスの正面にある階段を登り、さらに奥にある階段がセントポール教会に続く階段になります。
案内表示があるので、それに沿って行けば迷うことはないはずです。
セントポール教会からファモサ要塞跡は階段でアクセスが可能
セントポール教会の見学が終わった後は、そこから別の階段を下りてファモサ要塞跡にアクセスすることができます。
上記の画像にある階段を下った先にPorta de Santiago(サンチャゴ砦)の後方が見えてきます。
こんな感じでセントポール教会とサンチャゴ砦の間に階段があります。
ファモサ要塞跡エリアで休憩するならマラッカメガモール
ファモサ要塞跡エリアにあるマラッカメガモール(Dataran Pahlawan)。
セントポール教会やファモサ要塞跡エリアの観光をするだけでも少し疲れると思うので、熱中症を防ぐためにも、疲れた時はエアコンが効いたショッピングモールの中に入って、一休みしてみてください。
マラッカメガモール(Dataran Pahlawan)には、民芸品を取り扱うお土産屋さんもあるので、お買い物が楽しめます。
オランダ広場の観光所要時間は目的に応じて異なる
オランダ広場での観光所要時間は、スタダイス観光にどれだけ時間をかけるのかにより大きく異なります。
時計台前で写真を撮ったり、キリスト教会の見学をする分には時間はかかりません。
ただし、スタダイスにある博物館をじっくり見学しようとすると、1時間以上はかかります。(周辺にある博物館も全てまわろうとすると、さらに時間がかかります)
「博物館の中はどうなっているのかな?」とさらっと見学するのであれば、もう少し短くなりますが、展示物に目を通してじっくり見学すると1時間だと足りないくらいです。
ジョンカーストリートは昼間の訪問もおすすめ
金〜日曜日に開催されるナイトマーケットには活気があるものの、かなり混雑します。
また、台湾などの夜市に慣れていると、物足りなさを感じてしまう規模&内容のナイトマーケットであるため、特別ナイトマーケットが好きということでなければ、比較的空いている昼間に訪れて、のんびりとお買い物する形もおすすめです。
マラッカ観光に必要な日数
マラッカの街をじっくり楽しみたい時は、マラッカで1泊することをおすすめします。
1泊2日あれば、ジョンカーストリート周辺でのお買い物を楽しみつつ、定番観光スポットをのんびりとまわることができます。
マラッカ観光する場合、
- クアラルンプールからアクセス
- シンガポールからアクセス
旅行者の方は上記いずれかのルートでバスを使ってマラッカ入りするケースが大半であると思います。
クアラルンプールからは車で2時間〜2時間半、シンガポールからは4時間程度かかりますが、渋滞など道路の状況に応じて所要時間は変わってきます。
じっくり観光したい場合は、マラッカで1泊する方がおすすめです。
ただ、スケジュール上、マラッカ観光にあまり時間を割くことができない場合は現地オプショナルツアーを利用して、半日でまわるというチョイスがあります。
まとめ:麗しの古都、マラッカは美しい観光スポット
コンパクトシティのマラッカは、街の中心部に主要観光スポットが集まっていることから、徒歩で観光しやすい場所です。
時間に余裕があれば、ハンリーポーの井戸、マラッカ海洋博物館や水上モスクのMelaka Straits Mosqueにも足を伸ばしてみても良いと思います。
ご自身のスケジュールに応じて、足を運ぶべき観光スポットを増やしたり減らしたり、調整してみてください。
以上、マラッカ観光特集、世界遺産の街歩きを楽しむためのガイドでした!