【マレーシアの肉骨茶とは?】バクテーの起源&歴史と注文時のポイント

マレーシアの肉骨茶(バクテー)とは?

マレーシアおよびシンガポールで親しまれている肉骨茶(バクテー)

豚肉をコトコト煮て作られるバクテーは、ガッツリとした肉料理が食べたい時におすすめのローカルグルメです。

この記事では、肉骨茶の概要と歴史、マレーシアのバクテーの特徴や注文時のポイントについて紹介します。

目次

発祥地はマレーシア、それともシンガポール?

食の起源にまつわる議論が度々持ち上がるマレーシアシンガポール

ほかの南洋グルメと同じように、肉骨茶(バクテー)の起源もどちらであるのか不明で、明確になっていないところがあります。

ただ、マレーシアの肉骨茶とシンガポールの肉骨茶には、

  • マレーシア=福建系が主流
  • シンガポール=潮州系が主流

…という大きな違いがあります。

それぞれのスープの特徴としては、

  • マレーシア:黒っぽい色
  • シンガポール:白っぽい色

見た目と味が異なります

マレーシアで主流の福建系の肉骨茶は、スープに漢方薬やスパイス使い、さらに醤油やダークソイソースを加えることから、黒っぽい濃い色をしているブラック系スープが特徴です。

一方、シンガポールで主流の潮州系の肉骨茶は、胡椒とニンニクがベースになっているホワイト系のスープが特徴になります。

実は3つある!バクテーの系統

厳密に言うと、バクテーには、

  • 福建系
  • 潮州系
  • 広東系

…という3つの系統が存在します。

上記で紹介した福建系と潮州系のほか、広東系の肉骨茶(バクテー)があり、広東系のバクテーは、薬膳の香りがより強いものになっています。

マレーシア肉骨茶の起源とは?

マレーシアのバクテーの起源

シンガポールに伝わる肉骨茶の起源とマレーシアに伝わる肉骨茶の起源は、それぞれ異なるストーリーがあるので、ここではマレーシアにおける起源説について紹介します。

バクテーの起源には、

  • クラン港で働く肉体労働者のために作られた料理
  • 李文地という人物が作った料理

…をはじめ、様々な説が存在し、実のところは何が正しい起源であるのかは不明です。

ただ、マレーシアにおいては、

バクテー生誕の地=Klang(クラン)

…という考え方が定着しています。

港で働く中華系肉体労働者の食べ物だった?

マレーシア最大港のPort Klang(ポートクラン)があるクラン

イギリスがマラヤを支配していた時代に、クラン港(当時の名称はPort Swettenham)で働く中華系肉体労働者が、複数の漢方素材に豚骨や肉の切れ端を入れて作った薬膳スープが肉骨茶のはじまりであるという考え方が定説です。

手早く栄養満点の食事として食べることができるバクテーは、労働者の間で人気を博し、改良されたものがマレーシアにおける華人社会に定着したという説が有名です。

ただ、肉を食べることが贅沢であった時代において、低賃金で労働を強いられていた人々に豚肉は高価なものであったことは想像に難くなく、肉を食べるのは富裕層で、労働者たちは肉ではなく薬膳スープとご飯を食べていたと言われています。

クランバクテーは李文地が作った?

1940年代からクランで肉骨茶を販売していた李文地(Lee Boon Teh/リーブンテー)

一説によると、中国・福建省からの移民であった李文地が作ったバクテーが、今あるクランバクテーの原形であると言われています。

クランにある最も古いバクテーのお店の德地肉骨茶(Tech Teh Bak Kut Teh)
德地肉骨茶(Tech Teh Bak Kut Teh)

マレーシアの作家である林金城さんの著書『知食份子』によると、李文地がKTMのクラン駅付近ではじめた德地肉骨茶(Tech Teh Bak Kut Teh)というお店がクランバクテーの元祖であり、現在も一族が営業を続けています。

德地肉骨茶は李文地の長男が引き継いだものになりますが、ほかの息子たちが独立して営業を開始したお店もあり、例えば盛發肉骨茶(Seng Huat Bak Kut Teh)は李文地の四男がはじめたお店として知られていて、ローカルの人に人気があります。

クランには、ほかにも德地から派生したと言われる李文地をルーツに持つお店があります。

バクテーは何語?”肉骨茶”と呼ばれる理由

肉骨茶は、

  • 肉=Bak
  • 骨=Kut
  • 茶=Teh

…という福建語の発音が元になっている言葉になります。

「茶」という言葉が使われていることから、料理に茶葉を加えているの?と思ったり、肉骨茶(バクテー)を食べる時に欠かせないものが中国茶であることから、茶が関係しているのでは?と思うことがあるかもしれません。

肉骨地→肉骨茶になった

しかしながら、林金城さんの『知食份子』によると、バクテーとお茶は関係なく、李文地(Lee Boon Teh/リーブンテー)の名前の「地」から派生したものが肉骨茶になったと説明しています。

骨付き肉を薬膳で煮込んで作る李文地の料理がクランの人々の間で人気になると、李文地の名前を取って「肉骨地」と呼ばれるようになります。

福建語で「地」と「茶」の発音が同じであったことから、肉骨地→肉骨茶となり、肉骨茶(バクテー)という料理名が定着したと言われています。

マレーシア肉骨茶の特徴

薬膳スープベースのマレーシアの肉骨茶(バクテー)

先述したように、マレーシアのバクテーの特徴は、漢方薬が使われた濃い色をしたスープ

お店によって漢方の味が強いもの&弱いもの、甘みが強いもの&塩気が強いもの、色の濃淡の違いなどがあるものの、薬膳&スパイスを使っていること醤油やダークソイソースを加えるところが大きな特徴です。

マレーシアの肉骨茶に使われる漢方薬の種類

肉骨茶に使われる漢方素材

肉骨茶(バクテー)には、複数の漢方素材が使われています。

肉骨茶の薬膳

當歸、黨蔘、川芎、玉竹、甘草、枸杞子など、様々な漢方素材をブレンドし、さらにニンニクや胡椒、スパイス類を加えて煮込みます。

お店によって、漢方薬やスパイスの配合が異なるため、スープの甘みであったり、風味に違いが出ます。

バクテーの注文方法&ポイント

バクテーのメニュー

肉骨茶(バクテー)のお店では、どこも大抵似たようなメニューになっていて、

  • 肉骨茶
  • ご飯
  • 野菜
  • 飲み物(お茶)
  • そのほかのトッピング

…など、定番のものを注文する形になります。

バクテーの注文について(部位を指定することができる)

肉骨茶(バクテー)のお店では、バクテーを「1人分」や「2人分」、「小サイズ」や「大サイズ」などと言って注文することができますが、脂身なし、脂身と脂身少なめの肉のミックス、骨付きなど、好みに応じて注文することも可能です。

例えば、

  • 瘦肉
  • 半肥瘦
  • 排骨
  • 大骨
  • 小骨
  • 三層肉
  • 豬腳

…などがあり、豬肚や豬腸などの内臓系もあります。

バクテーに使われている排骨

ポークリブの排骨は、肉骨茶の定番人気の部位になります。

注文時に特に何も言わなければ、肉をミックスしたバクテーを提供してくれますが、脂身が嫌いな場合は、瘦肉(Shòu ròu)と注文する形がおすすめです。

英語なら、Lean Meat(リーンミート)と言えば伝わります。

また、脂身の少ない肉としては、五花骨という部位が使われることもあります。

ドリンク(お茶)の注文について

マレーシアの肉骨茶で定番の烏龍茶

肉骨茶(バクテー)と一緒に飲むことが多いドリンクは中国茶

鉄観音プーアール茶、複数の茶葉の選択肢があります。

バクテーのお店では、食事をする前に、茶杯やお箸、蓮華などを熱湯消毒する習慣があり、大抵は上記画像のようなボウル(プラスチック製のボウルもあり)のなかで茶杯などを消毒してから、お茶を注いだり、お箸を使ったりします。

サイドディッシュ&トッピング

バクテーと一緒に注文する白飯
白飯

肉骨茶(バクテー)と一緒に食べる白飯。

バクテーのお店で提供される葱油飯
葱油飯

シンプルな白飯のほか、蔥油飯が使われていることもあります。

また、ペナンではタロイモを使ったYam Rice(ヤムライス)を提供しているお店が多い傾向にあります。

油條

バクテーに欠かせない油條

油條というと、豆乳に浸して食べる朝ご飯のイメージがあるかもしれませんが、マレーシアでは肉骨茶(バクテー)を食べる時にスープのなかに加える定番のトッピングになります。

豆腐皮が使われている肉骨茶

バクテーにあらかじめ加えられている具材はお店によって異なりますが、油條、きのこ、豆腐皮(湯葉)、揚げ豆腐などが定番です。

えのきが使われているバクテー

デフォルトのバクテーに対して、追加で具材を加えることができるものもあり、上記画像はえのきを加えた肉骨茶(バクテー)になります。

油麥(Yaw Mug)

肉骨茶(バクテー)と一緒に食べるサイドディッシュの野菜には、アイスバーグレタスやロメインレタスなどの葉物野菜が一般的です。

ソースについて

バクテーに使う生のにんにくと唐辛子、醤油とダークソイソース

肉骨茶は、ダークソイソースや醤油に生のニンニクと唐辛子を加えたディッピングソースで食べる形が定番です。

唐辛子については、刺激の強いChili Padi(チリパディ)を使っているお店もあるので、辛いものが苦手な場合は唐辛子は加えない方が無難です。

バクテーのソース

まずはそのまま食べてみて、味が足りないようであれば、ディッピングソースで味を調整してみてください。

マレーシアの肉骨茶は、スープ自体にしっかりと味がついているので、ディッピングソースなしで食べても十分美味しく、クランにある肉骨茶のお店では、ニンニクと唐辛子を提供しないお店も割と多くあります。

スープの追加について

おかわり用のバクテーのスープ

薬膳スープを楽しむマレーシアの肉骨茶(バクテー)は、食事をしている最中にスープが少なくなってしまう…ということがよくあります。

通常は、無料で追加できることが多く、お店の人に言えば、カップに入れたスープを持ってきて、土鍋のなかに入れてくれます。

ただし、スープの追加が有料になっているお店があったり、ご飯を追加注文しないとスープを追加で提供してくれないお店もあるので、このあたりはお店の人に確認してみてください。

ドライバクテー

マレーシアのドライバクテー

マレーシアの肉骨茶には、上記で紹介したスープの肉骨茶のほか、ドライバクテーと呼ばれる肉骨茶があります。

ドライバクテーは近年作られるようになったもので、特にクランで広く提供されている新スタイルのバクテーになります。

ドライバクテーには、干しイカやレッドデーツ(ナツメ)のほか唐辛子が使われていて、ピリ辛の味つけになってます。

鶏肉を使ったチクテーもある

肉骨茶(バクテー)は豚肉を使うことが定番ですが、鶏肉を使って作るChik Kut Teh(チクテー)も存在します。

スーパーに行くと、バクテーの素のほか、チクテーの素が販売されています。

まとめ

漢方薬をたっぷり使うマレーシアの肉骨茶(バクテー)。

ご飯がすすむ美味しさを持つ料理です。

以上、マレーシアの肉骨茶(バクテー)についての紹介でした!

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この記事を書いた人

海外在住歴10年以上。留学、海外インターンシップ、海外勤務で欧米やアジアなど数カ国に在住。
台湾在住を経て、現在はマレーシアでの生活をメインにしています。

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