【ジャメモスク周辺を散策】ヘリテージウォークを楽しむ見所ポイント

クアラルンプールのマジジッド・ジャメ周辺を散策する観光特集

2つの川が交わる場所に位置するジャメ・モスク

このエリア一帯はクアラルンプールという街の形成と発展に繋がる起点として知られ、イギリス統治時代に作られた100年以上の歴史を持つ建造物が多いエリアであることから、ヘリテージウォークを楽しむことができる場所です。

この記事ではMasjid Jamek(マスジッド・ジャメ)エリアにある観光スポット特集として、見所をまとめて紹介します。

目次

ジャメモスク(マスジッド・ジャメ)

Masjid Jamek(マスジッド・ジャメ)
ジャメ・モスク(Masjid Jamek)
  • 名称:Sultan Abdul Samad Jamek Mosque
  • 建立年:1909年
  • 設計者:A.B. Hubback

マレー語の正式名称はMasjid Jamek Sultan Abdul Samad

Jamek Mosque(ジャメ・モスク)は、クアラルンプールに建立された初の大型モスク*になります。

*ジャメモスク建立以前に小さなモスクは存在していたものの、大型モスクとして造られたはじめてのモスクになります。

1908年に建設開始、1909年12月に完成。

国立モスク(Masjid Negara)が建立される1965年まで、クアラルンプールにおける主要モスクとして位置づけられていました。

設計者はArthur Benison Hubback

のちほど紹介するSultan Abdul Samad Buildingをはじめ、イギリス統治下において、クアラルンプール中心に多くの歴史的建造物を設計したことで知られています。

クアラルンプールの由来となった場所

Gombak川とKlang川が交わる場所にあるMasjid Jamek(マスジッド・ジャメ/ジャメモスク)
Klang川とGombak川が交わる場所にあるジャメ・モスク

Jamek Mosque(ジャメ・モスク)がある場所は、Klang(クラン)川とGombak(ゴンバッ)川という2つの川が合流する地点になります。

泥が交わる場所という意味を持つKuala Lumpurという地名の語源になったのでは?と言われる場所です。

ローカルコミュニティは東側、イギリス政府は西側に

Klang(クラン)川の東側には、錫(スズ)の採掘に従事していた中国系のコミュニティ、その周辺にマレー系のコミュニティが形成されていました。

一方で、イギリス政府は1800年にクアラルンプールをSelangor(スランゴール)の中心に位置づけると、クラン川の西側に政府機関の建物を建立しました。

これは、当時のローカルコミュニティの衛生面や暴動などを考慮して、クラン川をローカルコミュニティとの境にした…と言われています。

Market Street Bridge(マーケットストリートブリッジ)

Market Street Bridge(マーケットストリートブリッジ)とその近くにあるストリートアート
マーケットストリートブリッジ

Klang川とGombak川の間にはMarket Street Bridge(マーケットストリートブリッジ)と呼ばれる橋があります。

クラン川の東側にはローカルコミュニティが集う市場のOld Market Square (現在のMedan Pasar)があり、かつて商業の中心となっていました。

この橋を含めた通りはマーケットストリートとして知られ、マレー語でLeboh Pasar Besarと呼ばれています。

その昔は木の丸太を橋がわりに使っていたものの、1883年に木製の橋を建立、のちに金属製の橋に造りかえられたものの1994年に取り壊され、翌年の1995年に現在のコンクリート製の橋ができています。

River of Life(リバーオブライフ)

クアラルンプールのMasjid Jamek周辺にあるRiver of Life
River of Life

マレーシア政府のプロジェクトであるRiver of Life

川の浄化や美化、商業化によるリバーサイドの活性化を目的としたプロジェクトにより、様々なな取り組みが行われているエリアになります。

マジジッド・ジャメの近くにある橋

Masjid Jamekエリアにはマーケットストリートブリッジのほか、橋がもう1つあります。

Masjid Jamek Pedestrian Bridge
Masjid Jamek Pedestrian Bridge

もう1つの橋は、Market Street Bridge(マーケットストリートブリッジ)の北部に位置する、Masjid Jamek駅に近い場所にあります。

Sultan Abdul Samad Buildingの中庭
橋から見えるSulntan Abdul Samad Building

この橋をジャメ・モスク側から利用するとSulntan Abdul Samad Buildingやムルデカ広場側に簡単にアクセスすることができます。

ここまではジャメモスクおよび川に関連した歴史について簡単に触れましたが、以下にジャメモスクから徒歩圏内にある見所スポットについて紹介します。

旧連邦事務局

Sultan Abdul Samad Building
  • 名称:Sultan Abdul Samad Building
  • 建立年:1897年
  • 設計者:A.C. Norman、R.J.A. Bidwell、 A.B. Hubback

1894年に建築開始、1897年に完成したSultan Abdul Samad Building

マレー連合州(FMS)の事務局がSultan Abdul Samad Buildingに置かれることになると、これに伴い、Sultan Abdul Samad Building周辺に政府機関の建物が作られるようになった…という歴史的背景があります。

独立広場

ムルデカスクエア(独立広場)
  • 名称:Merdeka Square(Dataran Merdeka)
  • 建立年:-
  • 設計者:-

独立広場(マレー語でDataran Merdeka)はマラヤ連邦が独立を果たした1957年8月31日に、マラヤ連邦の旗がはじめて掲揚された歴史的スポットになります。

古くは警察の訓練用フィールド、のちにクリケットやラグビーなどのスポーツを行う場所となり、現在は独立広場(マレー語でDataran Merdeka)と呼ばれるフィールドになっています。

ロイヤルスランゴールクラブ

ロイヤルスランゴールクラブ
  • 名称:Royal Selangor Club
  • 建立年:1884年
  • 設計者:A.C. Norman、A.B. Hubback

独立広場があるエリアに位置するRoyal Selangor Club(ロイヤルスランゴールクラブ)

1884年に建立された当時はSelangor Clubと呼ばれ、上流階級が交流する社交クラブとして使用されていました。

当初は現在の場所ではなく、独立広場の北東に位置し、木で作られていたSelangor Clubですが、1890年にA.C. Normanの設計で現在の場所(独立広場の北西側)に作られ、1910年にはA.B. Hubbackの設計で再建築されています。

Selangor Clubにロイヤルの冠がつくようになったのは1984年以降になります。

クイーンビクトリアの噴水

ムルデカスクエアにあるQueen Victoria Fountain
  • 名称:Queen Victoria’s Fountain
  • 建立年:1904年
  • 設計者:-

ムルデカ広場のすぐ近く、Sultan Abdul Samad Buildingの対面にあるクイーンビクトリアの噴水

イギリスから運びこまれ、マラヤで組み立てられてた、100年以上の歴史を持つ噴水になります。

なお、マラッカにもQueen Victoria’s Fountainと呼ばれる噴水があり、オランダ広場の中央にある噴水は人々の憩いの場になっています。

セント・マリー聖堂

St Mary's Cathedral(セントマリー聖堂)
  • 名称:St Mary’s Cathedral
  • 建立年:1895年
  • 設計者:A.C. Norman

セント・マリー聖堂はイングリッシュゴシック建築をベースにした歴史ある英国国教会の聖堂です。

元々はBukit Amanという場所に建てられていた聖堂ですが、1893年に新しい場所に建て直すことが決定、選ばれた場所が現在の独立広場がある場所のすぐ近くになります。

マレー連合州下で作られたはじめてのレンガ製の聖堂で、なかには1895年製のHenry Willisのオルガンがあります。

国立繊維博物館

National Textiles Museum(国立繊維博物館)
  • 名称:National Textile Museum
  • 建立年:1905年
  • 設計者:A.B. Hubback

国立繊維博物館(National Textile Museum)はSultan Abdul Samad Buildingと同じ大通りのJalan Rajaにある建物です。

現在、国立繊維博物館がある建物は、かつてマレー連合州鉄道(FMSR, The Federated Malay States Railways)の本部があった建物になります。

元々の建物は1896年に作られていたものの、1905年にA.B. Hubbackの設計で現在国立繊維博物館がある建物に作り変えられています。

なお、マレー連合州鉄道の本部は、1917年にクアラルンプール駅の対面に移動し、現在はKTM(マレー鉄道)の本部として機能しています。

旧印刷局

政府の印刷局として使われていたクアラルンプールシティギャラリー
  • 名称:The Government Printing Office(現在はKuala Lumpur City Gallery)
  • 建立年:1899年
  • 設計者:A.C. Norman、J. Russell

クアラルンプールの歴史について学ぶことができるクアラルンプールシティギャラリー

観光客に人気のフォトスポットになっている場所でもありますが、政府の印刷局(The Government Printing Office)として作られた建物で、政府刊行物や切符の印刷が行われていた場所になります。

印刷局自体は1890年に作られ、元々はBukit Amanにありましたが、印刷需要の拡大に応じ、現在の場所に移転しています。

クアラルンプールシティギャラリーは2024年現在、閉鎖されています。

クアラルンプール記念図書館

KLシティギャラリーの横にはクアラルンプール図書館があります。

旧チャータードバンク

Old Chartered Bank
  • 名称:The Chartered Bank
  • 建立年:1909年
  • 設計者:-

KLシティギャラリーのすぐ近くにある建物は旧チャータードバンク

チャータードバンク(当時の名称はThe Chartered Bank of India, Australia and China)がクアラルンプールに初の支店をオープンしたのは1888年。

当初はClark Street(現在のJalan Mahkamah Tinggi)に店舗があり、Market Street(現在のLaboh Pasar Besar)に店舗を移したのち、1891年に現在の場所に2階建の建物を作りました。

1909年に古い建物を取り壊し、3階建ての建物に作りかえられています。

Panggung Bandaraya(シティシアター)

Old City Hall(Panggung Bandaraya)
  • 名称:Panggung Bandaraya
  • 建立年:1904
  • 設計者:A.B. Hubback

Panggung Bandarayaは1896年に建設開始、1904年に完成した建物で、クアラルンプール市庁舎およびタウンホールとして使われていた場所になります。

ミュージカル劇場として使われていたこともあり、2017年4月末までミュージカルが公演していました。

ミュージカル公演終了後はそのまま放置されていましたが、2020年頃から修復工事が実施されています。

Panggung Bandarayaはマレー語でCity Theatre(シティシアター)を意味し、クアラルンプールで最も古い劇場になります。

Old Supreme Court(旧最高裁判所)

Gombak川沿いにあるOld High Court
  • 名称:Old Supreme Court
  • 建立年:1915
  • 設計者:A.B. Hubback

旧最高裁判所は1912年に建設開始、1915年に完成した建物です。

1980年代になると、最高裁判所や高等裁判所の多くの機能はSultan Abdul Samad Buildingに移転、2000年代になるとPutrajayaとKuala Lumpur Courts Complexに場所を移しています。

(The Federal Court of MalaysiaとThe Court of AppealsはプトラジャヤのPalace of Justice、High CourtsはKuala Lumpur Courts Complexにシフトしています。)

Panggung Bandarayaの隣にある旧最高裁判所

旧最高裁判所はPanggung Bandarayaの隣にあり、Gombak川に面しています。

Old FMS Survey Office

Panggung BandarayaとOld Federated Malaya States Survey Office
  • 名称:Old Federated Malaya States Survey Office
  • 建立年:1910
  • 設計者:A.B. Hubback

Panggung Bandarayaの隣、Jalan Tun Perakの大通りに沿って続く黒いドームを持つ建物は、マレー連合州の調査室にあたるFederated Malay States Survey Office(FMS Survery Office)があった場所になります。

1910年完成した建物で、建物は120mもの長さがあります。

Panggung Bandaraya、Old Supreme Court、Old Federated Malaya States Survey Officeの3つの建物は修繕の必要性が叫ばれ続けているもので、なかでもOld Federated Malaya States Survey Officeは劣化が進み、状態が悪いと言われています。

Chow Kit & Co.とLoke Chow Kit Mansion

Chow Kit & Co.があった建物
Chow Kit & Co.があった建物

Sultan Abdul Samad Buildingのすぐ近くにある上記画像の建物。

百貨店のChow Kit & Co.があったビルになります。

クアラルンプールにある有名な市場のChow Kit MarketはLoke Chow Kitという富豪の名前が由来になっているもので、Loke Chow KitはデパートのChow Kit & Co.を創業した人物としても知られています。

Loke Chow Kit Mansion(RUMAH TANGSI)
Loke Chow Kit Mansion

Loke Chow Kitの邸宅はクアラルンプールやペナンにあり、上記画像のLoke Chow Kit Mantionはムルデカ広場の近くにあるLoke Chow Kitの豪邸の1つとして知られています。

ロイヤルスランゴールクラブの横にある大きな道路を挟んだ場所にある立派な建物です。

イメージマップで見る観光スポット情報

上記で紹介した観光スポットの位置関係をまとめたものが以下のイメージマップ。

ジャメモスク周辺の観光スポットをまとめたイメージマップ

川にあるピンクの部分は橋になります。

クアラルンプールエリアにおける錫(スズ)の採掘で中国からマラヤに渡ってきた人々は、クラン川の東側にコミュニティを形成した…ということは本記事の冒頭部分でも紹介しましたが、そのような歴史的背景から、チャイナタウンもクラン川の東側に形成されています。

また、イギリス政府はクラン川の西側に行政関連の建物を建てた…ということも冒頭に記載しましたが、現在も政府関連の建物が多いエリアになっていて、植物園の近くにあるBukit Amanには連邦警察本部、植物園をこえた先にも様々な政府関連の建物があります。

東側は少し混沌とした雰囲気がありますが、西側は秩序のある街並みになっています。

最寄駅情報とアクセス方法

ジャメモスク周辺の観光をするのであれば、Masjid Jamek駅の利用が便利です。

Masjid Jamek駅を出ると、すぐ側にジャメモスクがあります。

Sultan Abdul Samad Building側に行きたい場合は、Masjid Jamekの近くにある橋を使って川をこえると、Sultan Abdul Samad Buildingの裏庭側にアクセスでき、ここから独立広場やKLシティギャラリーに行くことができます。

独立広場周辺からセントラルマーケットやチャイナタウンにも足を伸ばしたい時は、国立繊維博物館の前にあるLeboh Pasar Besarという通りにある橋を使うと便利です。

セントラルマーケットやチャイナタウンに直接アクセスする場合は、Pasar Seni駅が最寄駅になります。

まとめ

本記事ではジャメモスク周辺の観光スポットについていくつか紹介しましたが、人気のある観光スポットとしては、

  • Masjid Jamek
  • Sultan Abdul Samad Building
  • Dataran Merdeka
  • Royal Selangor Club
  • KL City Gallery

…あたりになります。

これらの観光スポットを中心に、興味に応じてまわる形がおすすめです。

以上、ジャメモスク周辺の観光を楽しむための見所ポイントについての紹介でした!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

海外在住歴10年以上。留学、海外インターンシップ、海外勤務で欧米やアジアなど数カ国に在住。
台湾在住を経て、現在はマレーシアでの生活をメインにしています。

目次