【紅亀粿】赤いカメのお菓子?マレーシアのアンクークエの特徴とは?

マレーシアのアンクークエ

マレーシアの華人コミュニティの間で最も親しまれている大定番の伝統中華菓子、紅亀粿(アンクークエ)

中華系の人にとって重要な祭事慶事に用いられるお菓子でありながら、日常的に食するお菓子でもあります。

この記事ではマレーシアの紅亀粿(アンクークエ)の特徴について紹介します。

目次

紅亀粿(アンクークエ)とは?

マレーシアの紅亀粿(アンクークエ)

中国南部を発祥とするお菓子の紅亀粿(アンクークエ)

福建、潮州、広東、客家など中国南部系の人々に親しまれているモチモチ食感の伝統菓子で、その起源は閩南系(福建系)の人々であると言われています。

台湾や東南アジアでも親しまれるアンクークエ

紅亀粿は中国だけではなく、台湾東南アジアにもあります。

東南アジアには中国南部から移住した中華系の人が多く、特にマレーシアシンガポールをはじめ中国南部を祖先のルーツとする華人が多い国ではアンクークエは一般的です。

紅亀粿の表記と発音の由来

中国語の表記は紅龜粿(簡体字の表記は红龟粿)。

また、粿ではなく糕という文字を使って紅龜(红龟糕)と表記されることもあり、客家の人は紅粄と呼ぶこともあります。

紅龜粿のアルファベット表記はAng Ku KuehAng Ku Kuih

英語にすると紅龜糕をそのまま直訳したRed Tortoise Cakeになります。

アンクークエという発音は閩南語(マレーシアやシンガポールでは福建語と呼ばれる方言)がもとになっています。そのため、言語学的に閩南語に分類される台湾で使われている台湾語でも同じようにアンクークエと呼んでいます。

赤い色&カメの形をしている理由

亀の形をした真っ赤な紅亀

赤い色味と亀の形状には意味があります。

赤は幸運を示すカラー、亀は長寿繁栄の象徴であり、縁起の良い色味と形状を取り入れたものになっています。

なお、マレーシアでは真っ赤なアンクークエよりも、オレンジ色のアンクークエの方が一般的です。

縁起の良い文字も刻まれている

寿の文字が刻まれた紅亀粿(アンクークエ)

また、紅亀粿の表面には「寿」など、縁起の良い言葉が刻まれていることがよくあり、これも縁起の象徴です。

昔は本物のカメをお供えに使っていた?

その昔、中国では本物の亀がお供えに使われていたものの、亀の数が少なくなりお菓子に置き換えて用いられるようになったことが、紅亀粿(アンクークエ)の起源だと言われています。

マレーシアにおけるアンクークエ

紅亀粿は、

  • 春節(旧正月)
  • 清明節
  • 年配者の誕生日
  • 子供が生まれて1ヶ月が過ぎた時(満月)のお祝い

…など、華人にとって重要なイベントで用いられ、春節や清明節では神様やご先祖様へのお供え物にしたり、慶事のシチュエーションで配ったりとお祝いの席に欠かせないものになっています。

ペナンのユニークな満月を祝う贈り物セット

ペナンのプラナカンや福建の人は、赤ちゃんが生まれて1ヶ月たった満月(マンユエ)のお祝いとして、

  • 紅亀粿(アンクークエ)
  • Nasi Kunyit(もち米をターメリックで色づけした黄色いご飯)
  • チキンカレー
  • 卵の殻を赤い染料で染めた茹で卵

…のセットを親しい人(親族や友人、隣人など)に配るという慣しがあります。(そして、親族や友人はお返しにお祝金を包んだ紅包を渡します)

満月に使うアンクークエの形は、男の子の赤ちゃんと女の子の赤ちゃんで異なり、クエの形を見ると男の子か女の子かわかるようになっています。(女の子が生まれた場合に贈るアンクークエは表面がシンプルで丸い形をしています)

満月の贈答品は中華系の人でも、国や地域によって同じものがあったり、異なるものがあったり、興味深いものがあります。

例えば、台湾では満月の贈り物におこわの油飯を配る習慣があります。

日常的に食べるお菓子でもあるアンクークエ

マレーシアの中華系の人にとって重要なイベントで使われることが多い紅亀粿ですが、特別なイベントの時だけに食べるものではなく、おやつとして普段口にすることが多いお菓子でもあります。

マレーシアにおけるアンクークエの価格は1つあたりRMRM1.20〜1.50程度(日本円にして36円〜40円前後)で、中華系伝統菓子のKuih(クエ)を販売するお店で大抵取り扱っていることが多い大定番のクエの1つです。

アンクークエはどのようにして作られている?

材料はシンプルで、

  • もち米粉
  • 砂糖
  • 緑豆
オレンジ色のさつまいも
オレンジ色のさつまいも

オレンジ色をした紅亀粿(アンクークエ)にはオレンジ色のさつまいもを生地に混ぜ込むことも多いです。

ただ、大抵はオレンジ色やオレンジと赤をミックスした着色料を使っていることが多いです。(人工着色料を使っていないお店も一部あります)

一方、真っ赤な紅亀粿(アンクークエ)には赤い食用色素が使われていることがほとんどです。

紅亀粿(アンクークエ)の型(モールド)

紅龜粿(アンクークエ)を作る時に使う型(モールド)
アンクークエの型(モールド)

もち米粉に水・油・砂糖を加えて生地を作り、そこに茹でてから砂糖と油を混ぜてペースト状にした緑豆(ムングビーン)をフィリングとして包み込みます。

餡を入れた生地を丸めたら、あとは型(モールド)に押し込み、亀の形に成型します。

油を塗ったバナナリーフ(バナナの葉)の上に成型したものを置き、蒸し器で蒸し上げて完成です。

バナナの葉を使うところは、マレーシアならではの伝統です。

マレーシアの伝統菓子にはバナナリーフを使うことが非常に多く、ベーキングペーパーのように使ったり、バナナリーフでお菓子を包んで蒸したりします。

形状は丸型と楕円型

紅亀粿(アンクークエ)の形は、

  • やや丸みを帯びているもの
  • 楕円形

…のものがあります。

丸みを帯びた紅亀粿(アンクークエ)

丸みを帯びている形状のアンクークエ。

楕円形の紅亀粿(アンクークエ)

楕円形のアンクークエ。

リアルな亀の形をしたアンクークエの型もある

リアルな亀の形をした紅龜粿(アンクークエ)を作る時に使う型(モールド)
リアルな亀の形をしたモールド

一般的にお店で販売されている紅亀粿(アンクークエ)は、上記で紹介した丸型か楕円形がほとんどですが、リアルな亀の形をしたアンクークエの型(モールド)も存在します。

ただ、リアルな亀の型は成型しにくいところがあるため、現在は使われていることはほとんどありません。

マレーシアのアンクークエのカラーバリエーション

マレーシアにはオレンジや赤色以外に、黄色、ピンク、緑、黒など様々なカラーの紅亀粿(アンクークエ)があり、なかのフィリングにもいくつかのバリエーションがあります。

黄色い紅亀粿

黄色の紅亀粿(アンクークエ)
さつまいもを使ったアンクークエ

黄色の紅亀粿(アンクークエ)。

オレンジ色の紅亀粿にはオレンジ色のサツマイモを使うことが多いと先述しましたが、黄色い紅亀粿には黄色いサツマイモを生地に混ぜ合わせることがあります。

ピンク色の紅亀粿

ピンク色のアンクークエ

明るいピンク色をした紅亀粿(アンクークエ)。

緑色の紅亀粿

パンダンを色づけに使っている緑色のアンクークエ
パンダンを使ったアンクークエ

緑色の紅亀粿(アンクークエ)にはパンダンの葉から抽出した液体(パンダンジュース)が使われています。

パンダンはマレーシアの料理とお菓子の香りづけ&色づけに非常によく使う定番の素材で、パンダンを使った緑色の紅亀粿(アンクークエ)はマレーシアらしいアレンジになります。

また、パンダンは緑豆の餡を作る時に香りづけに加えることが多いです。

よもぎを使った紅亀粿(アンクークエ)
よもぎを使ったアンクークエ

よもぎを使った紅亀粿(アンクークエ)。

黒色の紅亀粿

黒ごまを使った紅亀粿(アンクークエ)

黒ごまを使った黒い紅亀粿(アンクークエ)もあります。

ミニサイズのアンクークエ

ミニサイズの紅亀粿(アンクークエ)
ミニサイズのアンクークエがセットになったアソート品

マレーシアにはミニサイズの紅亀粿(アンクークエ)があります。

お店によってミニサイズの紅亀粿(アンクークエ)を販売していないケースもありますが、ミニサイズの紅亀粿(アンクークエ)がセットになった商品は、なかのフィリングが異なるアソート品であるケースが多いです。

紅亀粿(アンクークエ)のフィリング(餡)

緑豆(ムングビーン)がフィリングになっている紅亀粿(アンクークエ)
緑豆のフィリング

定番は緑豆(ムングビーン)を使ったフィリングですが、

  • 小豆(あんこ)
  • ピーナッツ&砂糖
  • 黒ごま
  • ココナッツ

…などが使われているものもあります。

あんこを使った紅亀粿(アンクークエ)

あんこ入りのアンクークエ。

ピーナッツのフィリングを使った紅亀粿(アンクークエ)

ピーナッツ。

黒ごまのフィリングを使った紅亀粿(アンクークエ)

黒ごま。

また、多様な種類の紅亀粿(アンクークエ)を販売しているお店では、甘いフィリングだけではなく、セイボリー系のものを販売しているケースもあります。

ただ、緑豆を使ったフィリングが一番美味しいです。

まとめ

その日に作られたフレッシュな紅亀粿はモチモチでとても美味しいです。

紅亀粿はマレーシアの色々な場所で気軽に購入できるものなので、おやつとして楽しむ形がおすすめです。

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この記事を書いた人

海外在住歴10年以上。留学、海外インターンシップ、海外勤務で欧米やアジアなど数カ国に在住。
台湾在住を経て、現在はマレーシアでの生活をメインにしています。

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